グリースの構造
グリースとは次の3つの要素によって構成されています。
グリースの構成成分
増ちょう剤
グリースを半固体又は固体状に維持させるものです。
主に金属(Li、Ca)石けんが主流ですが、近年では非石けん系の有機化合物(ウレア)も多く使用され始めています。
構造維持の他にも耐熱性、耐水性、機械安定性に影響を与えます。
分類 増ちょう剤の種類 滴点
使用最高
温度℃
耐水性 機械安定性 使用速度
範囲
用途、他








カルシウム 90~100 70

中速以下 低温、低速、低荷重用。構造安定剤として水分を含む。
リチウム 190~200 100~130

高速~低速 汎用グリース。欠点の少ない万能型。
アルミ複合 200以上 150~200

中速以下 高温グリース。長時間高温にさらされると軟化する。
リチウム複合 250以上 150~200

高速~低速 高温グリース。リチウムグリースより高温個所に適用。







ペントナイト なし 180~200

中速以下 高温グリース。長期間高温にさらされると固化する。
ウレア 250以上 200

中速以下 高温グリース。耐熱性、耐水性に優れ、長寿命。
シリカ 250以上 200

中速~低速 高温グリース。耐水、防錆性に劣る。
:優れている :良好 :普通 :劣る
基油
グリース成分の大半を占め、潤滑を担うものです。
主に鉱物油(石油から分離精製したもの)や合成油(合成炭化水素油<PAO>、エステル油、エーテル等)が使用されています。
潤滑性の他にも低温性、耐樹脂性に影響を与えます。
鉱油 ジエステル ポリオールエステル PAO ポリグリコール フェニルエーテル シリコン フッ素系合成油

油種 パラフィン系 DOS PET   PPG ADE ジメチル  
潤滑性(油性)







耐熱性







粘度温度特性







酸化安定性







低温性







耐ゴム性







耐樹脂性







備考 安価 耐ゴム性が劣る
軸受音響特性優
生分解性優
比較的
安価
ゴム、EPDMに良好 耐放射線性良好   高価
:優れている :良好 :普通 :劣る
添加剤
グリースに様々な効果を付与させる物です。
主に酸化防止剤、極圧剤、金属不活性剤、固体潤滑剤が使用されていますが、それ以外にも様々な種類があります。
これらの添加剤を組み合わせることでグリースに多種多様な性能を与えることが出来ます。
主な添加剤の効果と主な構成物質