モリブデンの違いについて
  二硫化モリブデン 有機モリブデン化合物
化学式・タイプ MoS2 MoDTC
(ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン)
構造式

外観 黒色・粉末
結晶構造:六方結晶
黄色・粉末
沿革 天然のモリブデナイトが原料。米国産が世界の約80%。
代表的な固体潤滑剤でグリース、ペースト、油への添加剤、乾燥被膜、自己潤滑性複合材料の添加物として広く利用される。
同類の化合物としてグラファイトがある。
人工的に創られた化合物。
最初は米国で潤滑油用に研究され始め(1965年)、本格的には第一次石油ショック後、省エネの要請に応え研究開発され、広く利用されるようになった。
作用機構
層状格子構造を有し、水平方向には非常に滑りやすく劈開(ヘキカイ)して優れた潤滑被膜となり、金属面にしっかりと付着する。

有機化学構造の為、分解しMoS2に類似する構造の化合物を含む反応被膜を形成し、金属同士の接触を防ぐだけでなく、被膜自身の摩擦係数が低いため、摩擦係数を下げる。
沿革 二硫化モリブデンは無機物のため、そのままの形で存在する。

有機モリブデンは有機化合物であるため、分解反応し、構造が変わる。

反応被膜の形成
グリース添加時
の効用
極圧性・耐摩耗性の向上
摩擦係数の低減化
極圧性・耐摩耗性の向上
摩擦係数の低減化

基本的には二硫化モリブデンの効用と目的は同じであるが、二硫化モリブデンより、酸化防止性を有し酸化安定性が優れている。

(二硫化モリブデン入りグリースより長寿命)